弐千七年四月拾参日

前世物語 弐
352 :自夜[]:2007/04/13(金) 17:47:27 ID:GD+rKICI0
 
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    Vレ'"         ,vニニ:::::ァッッ-    、、   ヾi i
   ./       , ./  - .、、 ` ̄^   、,_-,ミ 、  .l|.゙ |          ヽ
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  ^'lヽ、     ._,,,--ニ二,,,ニ,,."`゙' ヽ    、゙l゙iヘ"  .i .| .l      i l゙.l
   .\゙ ‐―ー'二ィニ゙、    ゙ヾミヽ,ヾ、,,ゝミミ^「     l |       .|│
     `゙''~゙'"`|.!|.ll .ヾ \\    ` `  ``      , | .|     ., .レ
         ||| | .ll゙ .ヽ ゙\\               .| | .l゙    ,/ /        何時までついてくるんだ? この変なの・・・
 
 >>351さん
 というわけで、そのAAかわゆいんで、Web Site の方の挿絵に使っていいですかね

前世物語 弐
354 :自夜[]:2007/04/13(金) 23:07:14 ID:GD+rKICI0
 >>353さん
 とってもサンキューです
 早速、使わせて頂きました
 
 あと、狢さんが、「わしゃ、女じゃ」といじけてました

前世物語 弐
355 :自夜[]:2007/04/13(金) 23:10:20 ID:GD+rKICI0
 前世物語 第二部乱世編 第四十四話 狢庵 その一
 
 暗闇から小さな光がちらちらと近づいてくる。狐火?この山では狐は見か
 けない。まるで狸の住処のような山。狐ではない。
 光が大きくなる。手提げ提灯。人?提灯はとても高価なもの。蝋燭はとて
 も高価なもの。とても庶民の手が届くものではない。
 では貴族?京から何百里も離れた山中に貴族の別荘があるとは思えない。
 提灯は私に近づき、私の傍らを通り抜け、木の壁に向かう。
 驚いた。狸が後ろ足だけで歩き、大きな袋を背負い、手提げ提灯を持って
 いる。なんだこれは。
 狸は木の壁の前に立つ。木がぎしぎしと動いて狸が通り抜ける隙間が出来
 る。狸はその隙間を通り、奥にはいる。また、木がぎしぎしと動いて隙間
 が閉じる。
 暫くして、上の方、木の枝と枝の間から光が漏れる。
 私は木の壁に近づき、木の中にはいる。木々の思念がからみつく。嫌な感
 じ。木々は私を嫌っている。いや違う。嫌悪とは異なる感情。でも好意で
 はない。出来ることなら通って欲しくない。そんな感情。
 特に拒まれることなく私は木を通り抜けた。
 
 つづく

前世物語 弐
356 :自夜[]:2007/04/13(金) 23:13:02 ID:GD+rKICI0
 前世物語 第二部乱世編 第四十四話 狢庵 その二
 
 中は大広間。奥に別の部屋が幾つかあるのだろう。そのための入り口の穴
 が壁にある。そして、階段箪笥。部屋をぼんやり照らすのは灯。
 水屋には見たこともない磁器の鉢に皿、そして硝子の椀。広間の中央には
 大きな台。毛皮の敷物。
 なんだここは。
 上の部屋から狸が降りてきて、私をちらりと見る。
 「中まで入って来おったか。立木の結界も役にたたんな」
 私が見えているのか。
 「おんしは人間の幽霊じゃな。あ〜、どうしてわしは人間の幽霊やらわし
  に喰われたい人間やら物の怪になりたい人間やら望みを叶えて欲しがる
  わけのわからん人間に好かれるんやろうなぁ、たまらんで」
 別に狸のことは好きではない。なぜこの狸は人間の言葉を喋っているのだ
 ろう。狸がじっと私を見つめる。
 「おんし、ぬしには会うたことがあるな。もう何十年かまえじゃ。おんし
  はまだ子供じゃった」
 私は喋る狸など知らない。
 
 つづく

前世物語 弐
357 :自夜[]:2007/04/13(金) 23:16:16 ID:GD+rKICI0
 前世物語 第二部乱世編 第四十四話 狢庵 その三
 
 「忘れおったか。まぁ、無理もない。だが、わしはよく覚えておる」
 狸は水屋から小皿を取りだし、袋から出したものを盛る。
 「ぬしはわしに飯を喰わせてくれた。そういう恩をわしらは忘れん」
 飯?思い出した。しものおにちゃが間違えて捕ってきた狢。すると、これ
 はあのときの狢?そういえば、ふて腐れたような表情はあの時のまま。
 「思い出したか。わしはあの日、人間の子供でも捕まえようとうろついとっ
  たら反対にぬしの兄に捕まった。油断じゃったな。まぁ、いつでも逃げ
  れる。どうせなら、郷の一番美味そうな子供を土産にしようとおとなしゅ
  う普通の狢のふりして連れて行かれた。そこで、ぬしが飯を喰わせてく
  れた。恩のある人間を喰うわけにもいかん。幸いぬしの親父が物知りで、
  わしは無事に放された」
 狢はなにか盛った皿を三つ持って奥のある部屋に行く。私もついて行く。
 「ぬしの名前はなんやったかのう。思い出した。自夜やったな」
 部屋の中には土まんじゅうが二つに石の墓標が三つ。狢は手前の土まんじゅ
 うの墓標の前に一つ目の皿を置く。
 「これは、物の怪に喰われたいと言うとった姫さんや」
 
 第四十五話へつづく


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