弐千七年弐月弐日

【百鬼】妖怪達の集うスレ【夜行】
310 :[]:2007/02/02(金) 11:05:45 ID:u3Cx4I8g0
 なんや、みんな、木天蓼で三日酔いかいな。わしもやけんど
 
 今朝は仕事場で(また、!!!??とかゆーて目玉落とすなや。わしにもいろいろあんねん)
 ぽんぽこのサントラかけとったんやけどな、あの話は実際のわしらとはちゃうねんけど、なんか
 生まれ育った山を思いだしたやね。宅地化が始まって出て行ってからもう何十年ち帰っとらん
 あの祠とか、お地蔵さんとか、まだあるやろうかねぇ

前世物語
694 :自夜[]:2007/02/02(金) 11:24:07 ID:u3Cx4I8g0
 >>689さん、>>691=692さん
 遁走中のはるひに代わって相手してもらってありがとうございます
 風物詩さんもはるひ遁走のあとしばらく見えなかったんで、駆け落ちでもしたかな
 と思ってましたが、精力的に活動されてたんですね。感心はしませんが、安心しました
 
 >>693さん
 無視しだしたんではなく、相手してる暇がなくなったってところなんですけどね
 ちょっと、本業の方が洒落にならない状態なもんで
 まぁ、ここでは物語の連載が最重要で、その次が幽霊雑談かな。それくらいはちゃんと
 続けていこうと思ってます。だから、当面は遊びを入れる余裕が私にないかもしれませ
 んが、物語の方でお楽しみください です
 
 そうそう、勝手に雑談は自由です。どうぞ、ご歓談ください

■家の言伝え■
260 :[]:2007/02/02(金) 12:00:09 ID:u3Cx4I8g0
 >>254はん
 言伝えは言伝えで重要なこっちゃ。その家の文化やからな
 ただ、わしら狢は重ね言葉は平気でしゃべれるし、わしには付いとらんが狸は金玉が
 「ぶらぶら」じゃ。狐も風邪ひいたように「こんこん」ないとる
 やから「もしもし」を実践しても妖怪にはきかんことを知っとかなあかん
 
 電話のもしもしは明治三十四年頃一般化したらしいが、「もしもし」の提唱者ははっきり
 しとる。加藤木 重教っちゅう人や。人間にしとくには惜しいほど、とても立派な人や
 この人が明治二十一年に出した「文明利器電話機使用問答」っちゅう電話の解説書が
 あるんやが、書き出しが「いささか古い知識ですまんが」っちゅうようなもんや
 電話自体の初輸入は明治十年やが、東京熱海間の電話実験が明治二十二年、こんときの
 実験要領書に「おいおい」と話しかけると記されておるな。一般向けの電話営業が明治
 二十五年や。それ以前の本で「古い知識」やからな。つくづくたいした人や
 
 「文明利器電話機使用問答」は国立国会図書館の近代デジタルライブラリーで見れる
 今の人でん、この本読んで、どれだけ電話技術のことが理解できるかのう
 
 >>259はん
 すまんのぉ、この本、そこらの図書館にはないんじゃ

■家の言伝え■
266 :[]:2007/02/02(金) 13:45:22 ID:u3Cx4I8g0
 >>263はん
 「おかむろ」ねぇ、知らんなぁ
 
 つhttp://members.tripod.com/go_raptor/column.htm

【百鬼】妖怪達の集うスレ【夜行】
312 :[]:2007/02/02(金) 19:36:35 ID:u3Cx4I8g0
 >>311 きつねはん
 はい、落ちとったで。かたっぽだけ
 
 つ´
 
 正社員になるとめんどいからな、自由業や。技術関係の物書きやっとる
 他人が一生懸命やった仕事をこき下ろしてお金もらっとる。まぁ天職やな

前世物語
698 :自夜[]:2007/02/02(金) 19:46:19 ID:u3Cx4I8g0
 >>696さん
 楽しみにしていただき、ありがとうございます
 でも、風物詩さんも、>>696みたいな書き込みを楽しみにじっと待ってらっしゃると思いますよ
 
 >>697さん
 猫は長生きすると開けた戸を締めるようになり、妖怪になると言いますが、今人間やってるん
 でしたら、天寿を全うして転生されたんでしょう
 
 人間さんですよね・・・

前世物語
699 :自夜[]:2007/02/02(金) 19:55:33 ID:u3Cx4I8g0
 前世物語 第二部乱世編 第十三話 雪兎 その一
 
 来た。
 雪の中でちょこちょこ動くもの。雪兎。辺りを見回し、聞き耳を立て、そ
 して何回か雪の中で飛ぶ。それを繰り返し、さむらいの方に近づいていく。
 さむらいは動かない。いや、違う。刀の柄に手をかける。なめらかな動き。
 兎は気付かない。また、辺りを見回し、聞き耳を立て、雪の中で飛ぶ。
 遂に兎はさむらいの前、さむらいの刀が舞う。静かに、そしてゆっくりと。
 何事もなかったように兎は通りすぎ、辺りを見回し、頸が傾き身体から離
 れ、倒れた。白い雪が赤になる。
 さむらいはゆっくり刀を鞘に収める。
 「小僧、もういいぞ。降りてこい」
 何故兎は気付かなかったのだろう。
 「雪兎は敵を見つけようと見回す。殺気がなければ見つかることはない」
 「だけど、刀を抜いた」
 「そう。刀を抜いた。だが、抜いただけだ」
 さむらいは兎の耳と足を持ち、枝からぶら下げる。
 身体から血がしたたり落ちる。
 
 つづく

前世物語
700 :自夜[]:2007/02/02(金) 19:58:10 ID:u3Cx4I8g0
 前世物語 第二部乱世編 第十三話 雪兎 その二
 
 「こうしてすぐ血抜きをしておく。肉が長持ちする。場所を変えよう。臭
  いは消しようがない」
 「あ」
 私は気付いた。さむらいも気付いたようだ。二三十間先、雪の中に白い耳。
 「無理だ。こちらへは来ぬ」
 ささやくようにさむらいが言う。私は手刀に手をかける。
 耳が動き、目が見回す。そして、動いた。私は手刀を投げた。
 くるくる回りながら飛ぶ手刀。雪が動く先に落ちる。
 「ほう、たいしたものだな。早く行ってとどめを刺してやれ」
 私には当たったという確信はなかった。雪をかき分けて坂を登った。
 手刀は腹に刺さっていた。ぴくぴく。私は手刀の柄を持ち、そのまま兎の
 胸の方に動かす。絶命。
 私は仕留めた嬉しさに耳を持ち、さむらいの方に向けて笑った。
 一番近い洞窟に寄り、二頭の兎を解体する。解体のやりかたもさむらいは
 教えてくれた。
 二頭の兎はばらばらになり、剥ぎ取った毛皮を吊して洞窟を後にした。
 
 つづく

前世物語
701 :自夜[]:2007/02/02(金) 20:00:06 ID:u3Cx4I8g0
 前世物語 第二部乱世編 第十三話 雪兎 その三
 
 頭と肋を鍋に入れ、囲炉裏に架ける。内蔵は裂きよく水洗いする。肉は串
 に刺し塩を振り掛け、囲炉裏に刺す。
 まだ時間は早い。
 「小僧の御陰で今日は贅沢だな」
 そう言ってさむらいは酒の用意をする。
 「どうした。もっと捕りたかったか。喰うために捕る。それ以上には捕ら
  ない。そうしないと次の冬、兎がいなくなる」
 素焼きの杯二つ、さむらいは酒を注いで姿勢を正す。
 「いただきます」
 お命、いただきます。
 「小僧は女子ではあるが、筋はよさそうだ」
 肉の表面から油が滲み出す。美味そうな匂いが立ち登る。
 「明日から剣も教えてやろう」
 そんなつもりはなかった。薪を割る斧さえまだ満足に扱えない。
 「肉、焼けたぞ。さぁ、喰え」
 次の日から厳しさが加わった。
 
 第十四話へつづく

前世物語
705 :自夜[]:2007/02/02(金) 22:50:06 ID:u3Cx4I8g0
 昨日からの続きです
 
 名無しの狢の耳にか細い声が聞こえた。聞こえたように感じた
 「狢さん、あたしです。狢さんに拾ってもらったあたしです」
 「だから誰じゃと聞いとる。何の用じゃ」
 「狢さんに百姓屋に連れて行ってもらったあたしです」
 「なんや、おんしか。またなして幽霊などやっとる。死にでもしたか」
 気配は形を変え、名無しの狢の目にもぼんやりと人の形に見えた
 「無理せんでええ、なりたてやろう。何があった。虐められでもしたか」
 「いいえ、新しいととうもかかあも大層優しくしてくれました。あたしも新しいととうと
  かかあが出来て、大層嬉しく思いました。ところが病にかかり、死んでしまいました」
 「せか、死んじょることは知っとるんやな」
 「はい。大層苦しい思いをしました。死ぬと身体が軽くなって、楽になって、こんなことな
  ら早ように死んでおけばと思いました」
 「うむ。死んだものはみなそういうな」
 「ととうとかかあは大層悲しんでくれました。二度も娘を亡くして大層可哀相なことをした
  と思います」
 娘子の姿はだいぶはっきりしてきた。目や鼻もぼんやりわかった

前世物語
707 :自夜[]:2007/02/02(金) 23:22:16 ID:u3Cx4I8g0
 「あたしはここにいますよと、何回か声をかけてみましたが、ととうもかかあも気付いてく
  れませんでした。あぁ、もうここに居てはいけないんだ。そう思い百姓屋を出ました」
 「せか、そりゃ難儀やったな」
 「その後は、ふらふらしていました。こうしていれば、いずれ成仏して本当のととうとかか
  あに会えると思っていましたが、一向に何もおこりませんでした」
 成仏なんてないんやと言いたい名無しの狢じゃったが、言うのをこらえた
 「ふらふらしている時におばさん幽霊から狢さんがこの山に居ることを聞きました。だから
  こうして来てみました」
 顔がはっきり判るようになった。涼しい顔だと名無しの狢は思うた
 「事情は判った。幸いわしは妖怪じゃ。妖怪は幽霊なんぞ気にならん。子供の幽霊は生まれ
  変わるのも早いっちいう。その気になるまでここに居ってくれてええ」
 「ありがとう」
 娘子はそう言うて、頭を下げると姿を消した。霧が晴れるように姿を消した
 それからも、名無しの狢は独りで人を襲い、人を化かし、人を困らせて暮らした
 ねぐらに帰ると娘子の気配を感じた
 ある日、ふと、その気配が消えた
 「そうか、生まれ変わったんか。今度もええ親のおる家に生まれるとええのぉ」
 名無しの狢はそう思った。そして、また人を襲い、人を化かし、人を困らせる暮らしをつづ
 け、幾度かの季節が過ぎた

前世物語
708 :自夜[]:2007/02/02(金) 23:49:55 ID:u3Cx4I8g0
 莫迦な人間共はあっちで戦、こっちで戦を繰り返し、名無しの狢もいつしか娘子のことは忘
 れた
 ある日、たまさか訪れてきた灰色狐と酒酌み交わしとると、狐が急にまじめな顔をしてこう
 言った
 「何か居ますね」
 名無しの狢も気付いておった
 「あたしゃねぇ、この世のもんでないものが苦手なんでございますよ」
 そう言うと灰色狐はそそくさと帰っていった
 名無しの狢は宙を見据え、こう言った
 「ぬしはまた死によったか」
 「はい。ご迷惑でしたでしょうか」
 「気にせんでええ。狐はんは半分神さんやからな、神さんは穢れが苦手なんや」
 「あたしは穢れでしょうか」
 「神さんにとってはな。わしら正真正銘の妖怪にとってはどうってこたぁない。で、今度は
  どがいした」
 娘子の幽霊はまたぼんやりと形をつくる
 
 というところで、続きは明日


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