弐千七年弐月参日

前世物語
710 :自夜[]:2007/02/03(土) 00:12:36 ID:CWUtT1Ca0
 >>702さん
 Web Site でお判りのとおり、私は相当に性格の悪い人間です。認めますよ。貧乏してますけど
 
 それで、私は何を回答すればいいのでしょう。「?」が付いている部分に個別にお答えすれば
 いいのでしょうか、それとも全体的に私の見解というか、意見というか、そういうのを書けと
 いうことでしょうか
 
 とりあえず、個別に答えておきます
 
 問:悪いことをしたら心が痛んだりしてますよね?
 答:痛みます
 
 問:どんどん悪いことして裕福になればいいのではないですか?
 答:あの世のあるなしと悪いことをしてもいい悪いは別の次元の話だと思います
 
 問:すでに悪人で裕福な人でしょうか?
 答:悪人ですが、貧乏です
 
 問:インチキの一言で片付けていいのでしょうか?
 答:臨死体験と本当に死ぬのは違いますから。臨死体験者がそう信じていることについては
   何も言うことはありません
   私自身で言えば、臨死体験は冷たいのに熱かったこと、楽しくないのに楽しかったこと
   です。死んだ後判ったのはどーでもいーですよー状態だったということです
   あの侍がもうちょっと早く来ていたら、楽しくないのに楽しい世界を死後の世界として
   語っていたかもしれません
 
 問:問いじゃないかも知れませんが、きっとお怒りに
 答:別にそんなことで怒ったりしませんよ
   信じるも自由、信じないも自由、まぁ、お気楽にお楽しみ下さい です

前世物語
711 :自夜[]:2007/02/03(土) 00:18:59 ID:CWUtT1Ca0
 >>704さん
 生まれつきじゃ仕方ないですよねぇ

前世物語
713 :自夜[]:2007/02/03(土) 00:47:03 ID:CWUtT1Ca0
 >>712さん
 悪い人ですよ
 
 狢さんが悪行の数々を晒してくれてます
 
 つhttp://anime.geocities.jp/ojiya1539/mujinahouse/mujinajoke001.html (三悪漫遊記)

前世物語
720 :自夜[]:2007/02/03(土) 11:23:30 ID:CWUtT1Ca0
 >>714 修験者さん
 要は修行が足らないと
 そうですね
 修行半ばにしてチラット見ただけで全貌が判るとは、さすがですね
 私も修行して、早く実際の出来事か映画の一部か見抜けるような力が欲しいと思います
 
 と、
 >>715さん
 私なら受け答えますね
 
 >>717さん
 随分早く終わる修行ですね
 でも、確実にメル欄の使い方など向上されているようで、修行の成果ですかね
 
 と、
 >>718=719さん
 受け答えてもいいですね
 でも面倒くさい時はこうします
 
 >>714=717
 ほう

前世物語
721 :自夜[]:2007/02/03(土) 12:32:22 ID:CWUtT1Ca0
 前世物語 第二部乱世編 第十四話 その一
 
 春は好きだ。
 山々の緑が若い。様々な獣や生き物が動き出す。田畑から必死の形相で飛
 び上がる雲雀が遠望できる。雲雀の鳴き声はここまでは届かない。
 雪はもう山稜の日陰にわずか残すばかり。
 私は毛皮を着物にし、ましらのように木の枝から枝へ移る。毛皮は織物と
 違い、音がしないのがいい。
 腰には手刀、そして脇差し。身体も大きくなって、脇差しが小さくなった。
 でも、多分、大刀はまだ大きすぎる。代わりに小振りの木刀。
 私も十四になった。村の同い年の娘らはそろそろ嫁に行くことを考えてい
 るのだろうか。私は莫迦らしく思える。今の生活の方がいい。
 昼餉を独りで済まし、木刀の素振りをして身体を暖めた後、私は小屋を出
 た。今日はどの道を通って帰ってくるのだろう。木の上から様子を探る。
 あれは違う。村の猟師だ。人数が多いし、動きが雑だ。あれも違う。あれ
 は熊。穴から出てすぐでお腹を空かしている。殺気に満ちている。
 見つけた。流れのような風のような動き。木々の下草のかすかな揺れ。
 私はまた別の木の枝へと移った。
 
 つづく

前世物語
722 :自夜[]:2007/02/03(土) 12:34:51 ID:CWUtT1Ca0
 前世物語 第二部乱世編 第十四話 その二
 
 目的の獣道の上に辿り着いた私は枝に座り気配を消した。今の私は枝から
 生えたもう一本の枝。かすかな風に揺られる枝。
 静かに時が流れる。だんだん近づいてくる足音が聞こえるような木がする。
 栗鼠が枝から私の腕に移り、肩を通り、顔を登る。
 栗鼠は焼いても煮ても乾しても不味い。よほど他に獲物がない時以外は捕
 らない。栗鼠は私の頭を過ぎて、背中を降りていった。
 鷲が何かを狙って空を滑っている。
 下草が揺れ、足音の気配が過ぎる。私はそのまま後ろに倒れ、枝から落ち
 る。身体を大きく伸ばし、頭が真下を向いた時、初めて目を開ける。地面
 との距離を測り、身体を曲げて向きを変え、脚を縮め衝撃を和らげる。
 手は木刀の柄にかけている。そのまま木刀を抜き、背中に向かって一突き。
 「でぇえええい」
 駄目だ。どうしても力を込めると声が出る。
 カン。弾かれる木刀、それでも離すものかと握りなおし、殴りかかる。
 カン、カン、カン。
 ぶつかり合う木刀、そしてすくい上げられて宙を舞う私の木刀。
 
 つづく

前世物語
723 :自夜[]:2007/02/03(土) 12:37:51 ID:CWUtT1Ca0
 前世物語 第二部乱世編 第十四話 その三
 
 「随分腕を上げた」
 「えへへへ」
 嗤いながら、木刀を拾い、腰に収める。
 「だが、まだまだだ」
 「おかえり、おにちゃ」
 「ただいま、ちび」
 小僧と呼ぶのは止めてくれ。そう言ったのは何時の頃だっただろう。
 名前を呼ばれるのは気恥ずかしい。母が私を呼ぶのを使って貰うことにし
 た。
 「どうしても声が出る」
 「力の入れすぎだ。相手を倒すのに力はいらぬ。それと、その言葉遣い」
 「よかって」
 さむらいと私は並んで小屋への獣道を歩き出す。
 「良くない。ちゃんと娘らしい言葉を使え。明日、町に連れて行こうかと
  思ったが、考え直さねばならぬ」
 「町?ほんと?」
 
 第十五話へつづく

前世物語
724 :自夜[]:2007/02/03(土) 12:46:12 ID:CWUtT1Ca0
 昨日からの続きです
 
 「はい。裕福な家に生まれて幸せな暮らしをしていましたが、一家そろって焼き殺されてし
  まいました」
 「そりゃまた豪快やのう」
 「はい。百姓一揆とかで町が襲われ、倉が破られ家に火を点けられました。ととうとかかあ
  と幼い弟と抱き合ったまま蒸し焼きにされてしまいました」
 娘子の形ははっきりしてきた。多少目鼻立ちは違うけど、年嵩は前のときと同じくらいだな
 と名無しの狢は思った
 「目の前で、ととうの顔が崩れ、かかあの顔が崩れ、弟はあたしにしっかりしがみついたま
  ま炭になっていきました。こうして私だけ生き長らえることができました」
 「まぁ、生きてはおらんがの」
 「ととうとかかあと弟は消えてしまいました。成仏したのでしょうか。なぜあたしだけ置い
  ていかれたのでしょうか。あたしはいつまでたってもととうとかかあと弟と、そして本当
  のととうとかかあには会えないのでしょうか」
 何百年も生きとる名無しの狢は死ねば全て消えてしまうことを知っとる。希に幽霊になるこ
 ともあるが、いずれ消えてしまうことを知っとる。じゃが、娘子にそのことを言う気には名
 無しの狢はなれんかった
 「さあな。わしは死んだことないけ、判らん。まぁええ。また気が済むまでここに居ったら
  ええ」
 「ありがとう」
 娘子は頭を下げると姿を消した

前世物語
725 :自夜[]:2007/02/03(土) 12:48:35 ID:CWUtT1Ca0
 それからも、名無しの狢は独りで人を襲い、人を化かし、人を困らせて暮らした
 そしてある日、また娘子の気配が消えた
 「今度は少しは長生きできるとええのぉ」
 名無しの狢は娘子が居た宙を見つめ、そう言った
 また何年か過ぎた。人間共の莫迦さかげんは相変わらずじゃった
 この日も名無しの狢は幼女を喰らい、腹一杯になったので、道端で休んでおった
 そこに半ば破れた鎧を着て、肩に矢がささったまま杖をついた侍が通りかかった
 なんじゃ、侍か。肉も固くて不味そうじゃな
 名無しの狢はそう思うたが、腹一杯じゃったので、知らんふりしちょった
 侍は名無しの狢の前まで来ると、がっくりと膝をついてしもうた
 しばらくは知らんふりしちょった名無しの狢じゃが、目の前で野垂れ死にされると、せっか
 くの満腹で幸せな気持ちが削がれてしまう。名無しの狢はとうとう我慢できずに侍に話しか
 けた
 「ごら、そこの侍。わしの前でへたり込むな。ぶち殺されんうちにさっさと去れい」
 侍はゆっくりと虚ろな目を名無しの狢に向けた
 「も、物の怪か」
 「そうじゃ。妖怪の中の妖怪、狢様じゃ」
 「物の怪よ」
 「狢様と呼べい」
 「物の怪は命と引き替えに頼みを聞いてくれると聞いたが、誠か」
 「そりゃ、南蛮の妖怪の話じゃ。わしは命なぞもろうても何にもならん」
 「物の怪よ、拙者の命と引き替えに、我が恨み晴らしてくれぬか」
 めんどうなことになったと名無しの狢は思うたが、見ると侍の怪我は死ぬほどのものではな
 い

前世物語
726 :自夜[]:2007/02/03(土) 12:51:15 ID:CWUtT1Ca0
 「恨みがあるならおのれで晴らせ、頼るな」
 「拙者、鹿州手町家の家臣、臼井 亜玉と申す。出城の守備を殿から仰せつかって居ったが、
  盟を結んだはずの馬州下山家の軍勢に襲われ出城を奪われた」
 「城を取ったり取られたりが侍の稼業やろ、そんなもんで恨むな」
 「手勢が少なすぎた。負け戦は仕方ない。だが、奴らは姫を人質にとった。以前より間者が
  入り込んでいたらしい。己の迂闊は認める。だが姫を人質に取るような卑怯は許せぬ」
 「だまされたんやな。そりゃ、たしかに卑劣や」
 「刃向かうことも出来ず、次々に倒された。何とか逃げ延びたものの、城は奪われ、姫は奪
  われ殿に顔向けできぬ。この先、生きても詮無し。しからば物の怪よ、我が命好きにする
  がいい。その代わり、どうか我が恨みを晴らしてくれ」
 どうしてわしの所には死にたい人間ばかりくるのじゃろう。名無しの物の怪は嘆いた
 「臼井とやら、ぬしの怪我は死ぬほどやない。命をもらう趣味もない。やが、今少し暴れた
  い気分ではある。ぬしの復習に手を貸してやろうか」
 「まことでござるか、狸殿」
 その場でぶち殺したくなった名無しの狢じゃが、なんとかこらえた
 下山家は大きなところで沢山の軍勢がいる。姫はおそらく下山家の本城に囚われていて、近
 づくこともできんという話じゃ
 「まぁ、わしに任せい。これでも妖かしの術を心得とる」
 大切な薬草を名無しの狢は侍の疵につけてやった。侍は元気を取り戻した
 名無しの狢は今度は別の薬草を口に含み、ふんと気力を高めた。名無しの狢の身体はみるみ
 る大きくなり、馬のような獣になった。身体のあちこちから妖気が湯気のように迸り、その
 姿はまるで麒麟のようじゃった
 
 というところで、続きは来週


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