弐千七年四月弐日
前世物語 弐
233 :自夜[]:2007/04/02(月) 19:37:49 ID:hzUsxIvD0
今度死ぬと多分消えちゃいますので、とりあえず死ぬのはやめました
仮に生まれ変わっても連載再開が数百年後になっちゃうでしょうし・・・
>>231さん
ありがとうさんです
>>232さん
私の同い年でも本当のおばぁちゃんはちらほらいますねぇ
まだ未通女もいますが
【百鬼】妖怪達の集うスレ【夜行】
406 :狢[]:2007/04/02(月) 20:49:27 ID:hzUsxIvD0
>>405はん
創作物にあれこれ言う気はないけんど、子供に変な誤解されても困るんでな
「この物語はフィクションであり、実在する妖怪、物の怪とは 一切関係がありません」
ちゅーのは入れといて欲しいな
前世物語 弐
234 :自夜[]:2007/04/02(月) 23:03:45 ID:hzUsxIvD0
前世物語 第二部乱世編 第三十四話 仕掛 その一
ひぃふぅみぃよぉ、私は頭数を数える。昨夜より二三人少ない。いずれも
伝令に出されて戻らなかったのだろう。
暫くすると侍が雑兵達を纏めている。本隊に引き上げることに意を決した
ようだ。賢明。
周囲が明るくなり、部隊は出発した。怪我人も一緒。
充分に時間をかけ、気配を探った後、私は木を降り、小屋に近づく。
罠。これは猪罠と同じ構造のもの。うっかり踏むと、鋼の歯が足を銜える。
上手く隠したつもりだろうが、土の色の違いで判る。私は罠を土から取り
だし、少しずらしておく。元会った場所は元通りに違う土の色にし、新し
い場所は、簡単には見つからないように土を被せる。
小屋の入り口に仕掛けられているのは鹿罠。入り口に近づくと、矢が飛び
出す仕掛け。罠はそのままに、引き金となる糸を入り口の反対側にも張る。
小屋の周りの木々にも矢を仕掛けていく。立木の様子が変わるが気付くだ
ろうか、多分気付かないだろう。
小屋の中にも仕掛けを作る。木の枝と町人娘の着物で人気を作る。そして
囲炉裏に最後の仕掛け。
つづく
前世物語 弐
235 :自夜[]:2007/04/02(月) 23:07:42 ID:hzUsxIvD0
前世物語 第二部乱世編 第三十四話 仕掛 その二
私の仕掛けで何人か死ぬだろう。直接人を殺めたことはないが、殺らなけ
れば殺られる。躊躇することはない。
足跡を残さないよう小屋を後にした頃、遠くで悲鳴が聞こえた。
おにちゃは人を斬るのに躊躇うことがあるのだろうか。
一旦本隊とは反対方向の谷に降り、沢伝いに移動する。水音は足音を消し、
足跡を消す。私は周囲にのみ気を配りながら進む。
かなり下って、徐に谷から出、尾根を目指す。尾根の向こうは本隊が布陣
しているはず。
尾根に着く。いるいる。うじゃうじゃと。かなりの大部隊。
周囲に目を配る。およそ半里先の谷、何人かが倒れている。おにちゃは思っ
たより敵の本隊近くで猟をしていたようだ。本隊に近づき安心したところ
を襲いかかる。理にはかなっているが、危険でもある。
本隊は目立った動きは見せていないものの、混乱している様子が判る。
おにちゃが討ち漏らした兵が帰隊したのだろう。討ち漏らした?ちがう。
わざと幾人かを逃がしたのだ。
私達の目的は、殺戮ではない。
つづく
前世物語 弐
236 :自夜[]:2007/04/02(月) 23:10:33 ID:hzUsxIvD0
前世物語 第二部乱世編 第三十四話 仕掛 その三
本隊に直接手を出すのはまだ先。それまでに、私は尾根で弓矢作りをする。
狩猟用に即席で作る弓は小振りだが、それでは届かない。私は立木をその
まま利用して大振りの弓を作る。
矢は木の枝を削って作る。鏃が欲しいところだが、小石で代用する。
午の刻を回るころには相当数の矢も出来た。
私は小屋から持ち出した乾飯を直接囓る。旨くはないが、腹には貯まる。
極微かな地響きを感じ、私は小屋の方を見る。微かな煙が上がる。本隊か
らは尾根が邪魔で見えないはずだ。
交代で出された部隊が何人かは知らないが、何人かは小屋めがけて飛ぶ矢
に射抜かれ、何人かは猪罠で身動き出来ず、最後の仕掛けの恐怖を味わっ
ただろう。
最後の仕掛け。そう。囲炉裏に吊した鍋一杯に入れた燃える石の粉。紐に
引かれ、残り火の上にぶちまけられる多量の粉は、まるで蒙古が使ったと
いう砲のように周囲をはじき飛ばして燃える。
南蛮から渡来した鉄砲に使う火薬もそうだと聞く。
乾飯を食べ終えた私は塒を作り、躰を休めて目を閉じた。
第三十五話へつづく
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