弐千七年参月拾弐日

前世物語 弐
91 :自夜[]:2007/03/12(月) 10:54:28 ID:YEbtc1JV0
 目の中で光らせたり光を吸収するってな話をすれば、まず、どうやってすんねん、という疑問が湧くようです。
 その前に、エネルギー問題を考えてみましょう
 一点の光源からの距離Lミリにある半径Rミリの瞳を通過する光の量は全体の光量のどのくらいでしょう?
 半径Lの球の表面積は4・π・L・Lですね。一方半径Rの円の面積はπ・R・Rです
 だから瞳を通過する光量は全体の(R・R)/(4・L・L)ですね
 一方、網膜の極近くで光った光は半分は網膜とは反対側に行ってしまいますので、効率は半分というところでしょ
 うか。すなわち、目の中で光らせれば、外で光らせるのに比べて(R・R)/(2・L・L)の光量、すなわち
 エネルギーで済むということです。もっとも目玉は二つありますから、(R・R)/(L・L)ですかね
 具体的な数値を入れてみましょうか。二三メートルは、まぁ至近距離でしょうかね。L=二メートル=二千ミリ
 としましょうか。瞳の大きさが直径一センチってのは、そうとう大きな瞳でしょう。でもまぁ、直径八ミリ、す
 なわち、R=四ミリとしましょうか。これで計算すると、(R・R)/(L・L)は二十五万分の一になります
 距離が倍の四メートルになれば、一百万分の一です
 目の中で発光させる場合が、いかに小さなエネルギーで済むかというのがよくわかると思います
 これだと、発光システムが多少効率が悪いものであっても、その発熱量はしれてます
 また、目の中は狭い閉鎖空間なので、いくら水に近い硝子体の熱伝導率が低いとしても、像の揺らぎを感じさせ
 るほどの温度差が目の中で発生するとは思えませんし、目玉が温かくなることもないでしょう
 目玉が温かくなる以上に重要なエネルギー問題があります
 幽霊とはいえ、無からエネルギーを作り出すことは出来ませんから、消費したエネルギーはどこからか補充しな
 ければなりません

前世物語 弐
92 :自夜[]:2007/03/12(月) 10:56:57 ID:YEbtc1JV0
 前世物語 第二部乱世編 第十九話 年増 その一
 
 来るかな、来るだろうな。
 私は目の端で年増を追いながら、ちびちび飲む。やっぱり来た。
 「ちょいといいかい」
 「え、あ、どうぞ」
 私は初めて気がついた振りをして、年増におにちゃが座っていた椅子を勧
 める。年増は遠慮無く座り、手に持っていた徳利から自分の椀に注ぐ。
 もう、ほとんど残っていない。
 「よかったら、どうぞ」
 年増は黙って椀を差し出す。なみなみと注ぐと暫く椀を眺めた後、ぐい、
 と呑む。随分前から空の椀を持っていたようだ。もう一杯注ぐ。店主が心
 配そうな目で見ている。私は指だけを動かして、徳利をもう一本たのむ。
 「あんたの連れ、何者?」
 「兄です」
 「町人には見えないね」
 ぎくりとする。声色が変わらないように注意して答える。
 「変わり者とはよく言われます」
 
 つづく

前世物語 弐
93 :自夜[]:2007/03/12(月) 10:59:28 ID:YEbtc1JV0
 前世物語 第二部乱世編 第十九話 年増 その二
 
 年増は一頻り私の顔を眺め、椀を口に含む。
 「あんたも町人には見えないね」
 今度は余裕で笑顔で答える。
 「わたしも変わり者とよく言われます」
 くっくっく。年増は喉の奥で笑う。
 「まぁ、そういうことにしておこうかい」
 店主が恐る恐る徳利を持ってくる。何か言いたげだが、私は店主から徳利
 を笑顔で奪い取り、年増に注ぐ。年増はぼんやりと品書きを見る。
 「あたしにも兄がいてねぇ、やさしい頼れる兄だった」
 「だった?」
 「殺された。兄も、父母も、妹たちも」
 「・・・・・・」
 「元は百姓さね。戦に巻き込まれて村焼かれて」
 私の母もそうでした。そう言いかかった。母は廻船屋の女将だ。
 「それからの人生、散々さ」
 私は黙って、又椀に注ぐ。
 
 つづく

前世物語 弐
94 :自夜[]:2007/03/12(月) 11:02:11 ID:YEbtc1JV0
 前世物語 第二部乱世編 第十九話 年増 その三
 
 年増はちびちび呑みながら身の上話を続ける。
 焼け出されたのはまだ子供だったこと。しばらくは同じ境遇の子供達だけ
 で生きてきたこと。次々に焼け出された時の怪我からくる悪い病気で仲間
 が死んでいったこと。人買いに騙されて、不具の仲間を置き去りにして連
 れて行かれたこと。何処かの商家に下働きとして売られたこと。商家を飛
 び出して博打打ちの仲間に入ったこと。日々賭場の仕切で生きていること。
 とくに珍しい境遇ではない。
 それでも生きてきたことは、この時代ではむしろ幸運な方である。
 年増は物語の最後で椀に残った酒を呑み干し、深いため息をつく。
 「この先、どうしたらいいんだろうねぇ」
 私は徳利に手を伸ばしたが、年増は手で椀に蓋をする。
 「これ以上呑むと帰れなくなる。話を聞いてくれてありがとうね。久しぶ
  りに気持ち良く寝れそうだわ」
 年増はふらりと立ち上がる。
 「おにいさんと、いつまでも仲良くね」
 年増はふらふらと店を出る。私は黙って見送る。
 
 第二十話へつづく

霊信じてる奴、また詳しい奴に質問
702 :自夜[]:2007/03/12(月) 11:49:28 ID:YEbtc1JV0
 >>650=662=667 にさん
 >死んだ時の脳の内容を、大気や水や道ばたの石ころという物理的存在に転写することができれば
 大気、水、石ころ。結構複雑な構造をしてますので、可能性は否定できないと思います
 大地そのものと考えることも可能でしょう。そして、その大地から幽霊さんの意志により何かが
 吹き出し、それを目撃した人がその吹き出されたものを幽霊本体と思いこんでしまう。ありえる
 話ではないでしょうか
 
 ただ、その場合、人が死ぬ時に記憶やらなんやらの転写がおこなわれる為には石ころや水や大地
 の場合、通常は接触していませんので、転写のメカニズムがより複雑になるでしょう
 つまり、人間の脳からなにものかに転写が行われ、そのなにものかから石ころに転写が行われる
 
 なにものか、まぁ、普通に考えると空気でしょうか。空気中の何かでもいいんですが
 じゃぁ、何も複雑な転写を行わなくても空気を媒体にすればいいじゃん、という考えもなりたちます
 空気だと短時間しか記憶やら何やらの情報を保持できない。石ころだと出来る。こう考えれば
 具体的なメカニズムを考えるヒントになるのかもしれません
 
 さて、大気中の現象。例えば雷雲。雷雲の誕生から消滅までを考えてみると、その挙動は、あたかも
 意志をもった生物のようです。人間に被害を与えたりすることも可能ですし
 雷雲がもし子孫を残すことができれば、我々とは異なるが、生物の一種として認定してもよさそうです
 
 そう言えば、幽霊も子孫を残す必要はありませんね
 
 まぁ、こういう風にも考えを広げることも出来ると思いますが、どうでしょう

幽霊は本当にいるのか4
71 :自夜[]:2007/03/12(月) 12:12:18 ID:YEbtc1JV0
 >>62さん
 幽霊が昔からいるものとして考えればの話ですが、
 
 >トンネルに住む傾向がある
 は、狭いところが好き、ってそれじゃぬこか。洞窟みたいなところが好き、って
 した方がいいかもしれません。昔はそんなにトンネルはなかったでしょうから
 
 同様の理由で
 >ラブホテル
 ってのも考え直してみた方がいいかもしれません。少なくとも私は出会い茶屋に
 住む幽霊の話は聞いたことありませんので
 
 まぁ、最近の幽霊は、ってことなら構わないんでしょうが

幽霊は本当にいるのか4
76 :自夜[]:2007/03/12(月) 15:28:35 ID:YEbtc1JV0
 公衆に晒されるのは嫌ですけど、ここでは別に証言は拒んではいませんがね
 特に所謂否定論者からも肯定論者からも前スレまでで私を追求するようなことは
 なかったですよ。単純な質問くらいはありましたけどね
 
 ひょっとしたら、両者とも本当のことを実は知りたくないんではないかなと
 思ったりもします

幽霊は本当にいるのか4
85 :自夜[]:2007/03/12(月) 17:05:55 ID:YEbtc1JV0
 >>81さん
 その繰り返してきた議論とは方向性が異なる話題を出しても、私が消えると、
 またすぐ同じ議論の繰り返しになるのは何故でしょう
 
 >>83さん
 まぁ、人徳でなく、人損でしょうけど。こいつと付き合うのは時間の損、みたいな
 
 それはかまへんのですけど、別に私は心霊用語なんて使いませんし(霊感とかない
 し、霊界なんたらには興味ないので、そもそも心霊用語を知らない)、所謂肯定派、
 否定派分け隔て無く質問には回答しているつもりですけどねぇ(悪意ある質問には悪意で
 答えてますけど)
 
 信じる信じないは別にして、自称体験者への尋問なしに徹底的な検証もないと思うんですが
 尋問の過程で私がボロ出せば、そんときゃ思いっきり私を嘲ればいいんだし

幽霊は本当にいるのか4
87 :自夜[]:2007/03/12(月) 17:33:58 ID:YEbtc1JV0
 >>86さん
 人間以外の動物霊とかについては、とりあえず神棚に上げといて
 
 霊が人間に起因するもので、一定の存続期間、まぁ寿命みたいなのがあるとすれば、
 人間がいなくなれば、霊もいずれいなくなるでしょう
 
 霊が永久に存続するものなら、人間がいなくなるまで霊は増え続け、人間がいなく
 なったあとは一定数の霊がうじゃうじゃとさまよいつづけるでしょう
 
 霊が人間に起因するものでなければ、人間がいなくなろうがどうしようが、霊には
 関わり合いがないことです
 
 どれか自然な考えでしょうね

幽霊は本当にいるのか4
89 :自夜[]:2007/03/12(月) 17:48:39 ID:YEbtc1JV0
 >>88=81さん
 幽霊の出現の仕方、消え方、人に憑きやすいのか、呪うのか、昼間はどうしているのか、
 まぁ、いろいろありますが、固有名なんてほとんど関係ないと思いますがね。前世話じゃ
 ないんだから
 そう言う証言から、そういう事象がありえるのかを科学的に探求していけばいいんじゃない
 ですか

幽霊は本当にいるのか4
96 :自夜[]:2007/03/12(月) 18:04:34 ID:YEbtc1JV0
 >>93さん
 75さんの>しかし体験はあっても体験者は検証を拒み
 から出た素朴な疑問だったんですがね
 
 んじゃ、何故体験者を尋問しないか、の話題は打ち切りましょう

【赤いキツネ】化かされた体験談【緑のたぬき】
28 :[]:2007/03/12(月) 21:35:26 ID:YEbtc1JV0
 わしもこのスレタイのセンスが気に入っとるが、なんせ化かす方の立場やから書込みは躊躇しとった
 
 >>27はんの話しやけど、その経験とスレタイを併せて考えると、
 その狸共は人間を驚かそうとお化け屋敷をやっとったんではないか
 
 そう考えると、少しは怖く・・・・・・・・・ならんな

【赤いキツネ】化かされた体験談【緑のたぬき】
29 :[]:2007/03/12(月) 21:45:43 ID:YEbtc1JV0
 では、わしもスレタイに沿った話をしよう
 
 わしは妖怪やから狐狸の類に化かされたことはない、と言いたいとこやけど
 一回だけやられた。おそらく、知り合いの灰色狐の仕業や
 
 あれは、赤いきつねやったか緑のたぬきやったか、まぁわしは蕎好きやから
 緑のたぬきの方やろう。言われる前に言っておくが共食いではない
 
 蓋を開けて、湯を入れるだけにして、わしは電気ポットで湯を沸かしておった
 経験者ならわかるやろうが、湯を入れて出来上がるまでも、いつしかぼーっと
 してしまうもんじゃが、湯を沸かしている間も、いつしかぼーっとしてしまう
 ことがある。その時、声が聞こえたんや
 「湯、沸いたぞ」
 わしはぼーっとしておったから、おおそうか、と無意識に返事して、電気ポット
 の中味をカップに注いだんじゃな
 そして、気がついた。湯気が立っとらん
 
 怖くない話しで恐縮やが、すごく、口惜しかった。あんたらも気ぃ付けるように


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